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【第1回】子どもの頃から、漫画家に憧れていた 『SKET DANCE』『彼方のアストラ』『ウィッチウォッチ』篠原健太先生に聞いてみた
「トキワ荘で徹夜で漫画を描く」姿に憧れを抱いた小学生時代。成長とともに漫画から遠ざかってしまったが、漫画家になる夢はずっと胸に秘めていた。
2024/04/27
――最初に漫画に触れたのはいつ頃ですか？
幼稚園か小学校低学年のときに『ドラえもん』の漫画を買ってもらったのが最初だと思います。その頃は、子どもたちの娯楽は漫画やアニメ、ともに藤子不二雄全盛期で、僕も大好きでした。高学年になって「ジャンプ」を読み始めましたが、とりたててたくさんの漫画を読む“漫画ファン”だったわけではなく、“面白い作品を読む”という程度でした。
――漫画家という職業を意識したのは、いつ頃でしたか？
わりと早かったと思います。小学生の頃に『まんが道』を読んで「トキワ荘で徹夜で漫画を描く」みたいな姿に憧れたのを覚えています。同じ頃に鳥山先生の『鳥山明のヘタッピマンガ研究所』も読んで、毎日のように友だちと「ジャンプ」の作品の絵を描いて見せ合っていましたね。あ！その頃ですね、Gペンを買って使ったの。ですが、ぜんぜんうまく描けなかったです（笑）。
――初めてのGペンは難しいですよね。
Gペンはちょっと触ってやめちゃいました。漫画は、小学校の漫画クラブに所属して描いていました。鉛筆で描いてホッチキスで留めて、という漫画っぽいものを。たぶんそれが“初作品”です。ただ、中学に入るとみんな大人っぽくなってきて、「俺の絵、見てくれ」みたいな感じじゃなくなっちゃって（笑）。うっすら「漫画家になりたい」と思いながらも、漫画の絵は描かなくなりましたね。
――学生時代はイラストとかも描かなかったんでしょうか？
中学時代は、よく教科書に落書きしていましたね。友だちに見せて笑いを取るために、英語の教科書の登場人物をひとりだけ血だらけにしたり（笑）。あとは、修学旅行のしおりや校内に貼るポスターのイラストは、だいたい頼まれて描いていました。『Dr.スランプ アラレちゃん』や『ゲゲゲの鬼太郎』とかの漫画のイラストを盛り込むと、ものすごくウケて。その頃から、目的は「自分が面白いから描く」ではなくて「人が面白がるのを見るために描く」だった気がします。
――中学生でその考えに至るとは、早すぎますね（笑）。
たぶん漫画家に向いている性格なんだと思うのですが、僕は「この絵がうまく描けたから満足」というタイプではなく、いかにアイデアを盛り込んで、人を楽しませるかを考えるタイプ。だから純粋に絵を描く行為から離れてしまったのかもしれません。
――美大に進学したのは、やはり漫画家になりたかったからですか？
高校生くらいからは、漫画家でなくても「絵の仕事」で給料をもらいたいと考えていました。どのみち自分は絵やデザインなどの仕事をするのは間違いないと思っていたので、進路で迷った経験はありません。よく「やりたいことが見つからない」とか「夢がない」という若者の話を聞きますが、僕はそういう悩みは皆無だったので、すごく幸運だったと思います。
――美大時代に、漫画賞を受賞されています。
はい。パルコの「GOMES漫画グランプリ」を受賞しました。「漫画らしくない漫画を募集」みたいなキャッチフレーズで、いわゆるサブカルフリーペーパーのすごく尖った企画でしたね。僕が描いたのも、いわゆるコマ割りをした漫画ではなくて、映画のスクリーンに見立てた横長のコマに白雪姫を描いて、吹き出しはまともな英語だけど、日本語字幕ではまったく違うことを言っているという、2通りの見方ができる作品でした。
――それは何歳くらいのときですか？
20歳のときかな。その頃はよくカラーインクで絵を描いていて、受賞作もフルカラーでした。応募したのは漫画家になるためだったわけではなくて、就職活動に使えるかなと思ったからです。
――経歴として、ということですか？
そうです。僕はグラフィックデザイナーじゃなく、イラスト寄りの人間だったので、絵で評価された実績がほしくて。賞をもらえたので、就職活動のポートフォリオに入れました。
――ほかにも応募した賞はありましたか？
1回だけ「街のゆるキャラ募集」みたいなものに応募しましたが、そっちはぜんぜん通りませんでしたね。
- 【第1回】子どもの頃から、漫画家に憧れていた
- 【第2回】ゲームシナリオも手がけていた会社員時代
- 【第3回】リミットを2年に設定し、本格的に漫画家を目指す
- 【第4回】孤独なネーム作りを通じ、成長を実感
篠原健太先生 shinohara kenta
漫画家。『赤マルジャンプ』WINTER号掲載の「レッサーパンダ・パペットショー」にてデビュー。2007年〜2013年、週刊少年ジャンプで『SKET DANCE』連載。2016年〜2017年、少年ジャンプ＋で『彼方のアストラ』連載。2021年2月〜週刊少年ジャンプで『ウィッチウォッチ』連載中。
